基本的な投資戦略

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  • 【リートについて】基本的な投資戦略

Ⅰ.各リートの個別銘柄分析

J-REITの長期投資を行う場合には以下の4つのポイントに留意する必要があります。
(逆に言えば以下の4つのポイントを押さえておけば概ね大丈夫ということです。)

1.良いポートフォリオであるかどうか

保有物件のクオリティはリートの生命線であり、もっとも大切なものです。
もちろん、ポートフォリオの内容をつぶさに見るためには、直接物件所在地に赴き現地調査をすることが一番ですが、現実には各リートの全ての物件の現地調査を行うことは一般投資家には困難です。したがって公表データからポートフォリオのクオリティを探ることになりますが、その時に見るべきデータは以下のものです。

・稼働率の安定性: 相対的に高い稼働率が長期安定的に推移しているか。
・NOI利回りの安定性 相対的に高いNOI利回りが長期安定的に推移しているか。
・平均築年数 ポートフォリオの平均築年数が短いほど将来における資本的支出が少なく済み、
配当原資が確保できる。

ポートフォリオのクオリティを見るには上記のほかに、物件所在地のエリア、物件規模なども勘案する必要がありますが、物件の種類によっては一概に都心集中、大規模物件が良いとは限りません。ホテルや物流施設などは全国に展開していますし、また中規模の物件で構成されたポートフォリオは、特にレジデンシャルの場合などは分散効果が期待できます。

2.良い運用を行っているかどうか

運用能力の評価も重要なチェックポイントではありますが、残念ながら定量的な分析が難しい分野でもあります。その中でも以下のデータは定量的な側面から運用能力の判断材料となります。

・配当利回りの安定性 相対的に高い配当利回りが長期安定的に推移しているか。
・適切な外部成長戦略 物件の新規取得を行う時に既存のポートフォリオNOI利回り
場合によってはインプライド・キャップレート)を下回るような取得を行っていないか。
・適切な資金調達戦略 タイムリーな公募増資(PO)を行っているか。過去にデスカウント増資を行ったことがないか。

上記の3点をチェックすることにより、そのリートの大よその運用能力や考え方が分かります。要は競争力ある物件を合理的なタイミングで取得しているかどうかと言うことです。しかし運用能力をさらに適切に判断するためには、実際には定性的な分析も必要となります。たとえばリートの運用会社の経営者の出身母体などです。運用会社の経営者は一般的にスポンサー企業の幹部社員が出向で務めることが多いようですが、そのスポンサー企業が大企業だからと言って必ずしも派遣された経営者が不動産投資信託の運用に精通しているとは限りません。残念な話ですが中にはキャリアパスとして腰掛け気分でリートに出向してくる経営者もいるようです。またそれは経営者に限らずアセット・マネージャーについても同様のことが言えます。このような人たちは概ねスポンサー企業の顔色ばかり伺って、投資家を顧みることは殆どありませんので注意が必要です。

3.良い財務内容であるかどうか

長期投資を行う上で重要なのが財務内容の分析です。リートはご存じのように投資家の資金を集めて不動産投資を行うために作られた会社(ビークル)であり、運用資産以外これといった営業用資産も無く、また配当可能利益のほとんどを配当することにより法人税の課税を回避する仕組みとなっています。したがって財務分析としての着眼点は資産や収入よりもやはり負債、つまりバランスシートの左側より右側を見る必要があります。具体的には以下の財務指標などのチェックが必要となります。

・負債比率(LTV) リートの総資産(あるいは運用資産)に対する有利子負債等の比率。
この数値が高ければ高いほどハイリスク・ハイリターンとなる。
・借入金の期間構造 負債比率が同じでも借入金(投資法人債含む)の期間構造によって財務リスクは変わってくる。
具体的には長期に亘って分散していることが望ましい。
・DSCR
(元利金返済カバー率)
DSCRは債務返済能力を示す指標の一つであり、以下の計算式により表される。
DSCR=元利金返済前キャッシュフロー÷元利金返済額この数値が高ければ資金繰りに余裕があることを示す。

上記以外にも財務指標はいくつもありますが、リートは極めて高度に情報開示された会社(ビークル)ですので、一般企業に対するような精緻な財務分析を行なうよりも、取り敢えずは上記のポイントに絞って見ておけば良いかと思います。
借入比率が高く、借入コストが高く(DSCRが低い)、借入金の期間構造が短いリートは要注意です。

4.良いスポンサー企業であるかどうか

リートのスポンサー企業の良し悪しも、運用能力と同様に定量的には測りにくい側面があります。
ただしスポンサー企業の影響は前述の財務内容、特に借入金コストなどに表れることがありますので平均借入コストあるいは前述のDSCRのチェックなども判断材料となります。しかし何と言ってもスポンサー企業に期待される最大の役割は運用資産の安定供給能力です。具体的には不動産マーケットが過熱気味などの理由で、合理的な利回りでの物件取得が困難な時に、安定的に物件供給を行うのが要スポンサー企業の条件となります。以下に3つのチェックポイントをあげます。

・スポンサー企業の信用力 スポンサー企業自体の財務格付、バックグラウンド(特に外資系の場合)など。
・平均借入コストへの影響 同セクター、同規模の他リートと比較して
平均借入金コストが低い場合はスポンサー企業の信用力が寄与していると考えられる。
・過去の物件供給実績 現在までの取得物件の中で、スポンサー企業からの取得がどれだけの割合を占めるのかを検証する。またそれらの物件の取得時のNOI利回りとインプライド・キャップレートを比較する。

日本の有名企業がスポンサーの場合は信用力の判断は比較的容易ですが、日本企業であっても独立系の場合や、外資系企業がスポンサーの場合は判断が難しいことがあります。また平均借入コストも借入金の期間構造や負債比率の違いもあるので単純な比較はできません。比較する場合には調整した数値を使う必要があります。物件供給実績については単に供給量を見るだけでなく、前述のように取得時のNOI利回りとインプライド・キャップレートを比較することにより、その取引がスポンサー企業の利益に視点を置いたものなのか、投資家の利益に視点を置いたものなのか判断することが出来ます。

Ⅱ.投資環境についての判断

リートの個別銘柄分析により長期投資に適した銘柄を選別できたとしても、投資環境が伴わなければ資産運用としての良いパフォーマンスを実現することは出来ません。そして投資環境を判断するうえで重要なのが景気動向と不動産マーケット動向の各指標です。「J-REITインサイト」ではこれら景気動向や不動産マーケット動向を見るうえで重要であると思われる指標を掲載しています。リート市場全体に対する投資環境の判断、あるいはセクターごとの投資環境の判断にご利用ください。

Ⅲ.投資タイミングの判断

投資対象適格銘柄を選別し投資環境の判断を行った後、次に必要になるのが投資タイミングの判断です。せっかく良い銘柄を選んで投資をしても、相場の高値圏で投資したのではその後大きな評価損を抱えることとなり、また利回りも相対的に低い利回りとなってしまいます。したがって少なくとも相場の中期トレンドで形成される山と谷の底値圏で投資を行いたいものですが、その時の判断のサポートになるのがテクニカル分析です。「J-REITインサイト」では一目均衡表という日本で発案されたテクニカル・ツールを利用してリート市場のその時々の位置関係について解説を行います。またNAV倍率、FFO倍率などの指標を利用して相場動向とは別に個別のリートごとの割高度・割安度を見ることにより投資タイミングを判断する手法についても解説を行います。

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